地底の楽園(仮題) part3
[プロローグ? の続き2]
地上の街の人間達は、力尽きて消えてしまった神々のために街の外れにある大きな縦穴――地底の楽園へと続く底が見えない深い縦穴――と祭司が守護神と会うときに使っていた洞窟に神殿を建てました。
地底の楽園では二代目守護神の光の翼を持つ狼が、悲しみと絶望と不安を抱え、立ち尽くしていました。
二代目守護神となるために生まれてきた光の翼を持つ狼でしたが、生まれてまもなく地底の神々達は光の翼を持つ狼を残して龍の悪魔と戦い、力尽きて消えてしまったため、守護神としての能力は全く備わっていませんでした。
しかし幸いなことに光の翼を持つ狼は初代守護神夫婦から経験と知識を受け継いでいました。
二代目守護神は守護神の役割を果たすため、初代の経験と知識を頼りに一心不乱に努力しました。
死に掛かった人の命を救い、街に降り掛かった災厄を撥ね退け、街で祭りが開かれ食べ物が捧げられたら晩餐会を開き、常に街と街の命を思い、街に尽くしました。その努力の甲斐あって二代目守護神はいつも街の人間から信仰され、信頼され、神殿も綺麗に保たれていました。
でもそれと同時に二代目守護神はいつも独りぼっちでした。
広大な地底の楽園でいつも独り。話し相手もいなく、毎日うさぎを追いまわして暮らしていました。
毎年地上で祭りが開かれる秋が――晩餐会を開かなくてはいけない秋が――二代目守護神にとって一番寂しく思う季節でした。初代の守護神達、地底の神々は食べ物が捧げられる度に晩餐会を開いていました。そんなルールがあるわけでもないのに、二代目守護神は律儀に仕来りを守っているのでした。祭りがある度に、食べ物が捧げられる度に、独りで盛大に晩餐会を開いているのでした。
そんな孤独な暮らしを続けていくうちに、二代目守護神は人間が羨ましく思うようになりました。地上で自由に楽しそうに暮らす人間のようになりたいと思うようになりました。そう願うあまり、気づくと二代目守護神は人間の姿になっていました。人間の姿を手に入れて釣りという新しい楽しみができましたが、存在そのものが人間になったわけではありません。あくまで、人の姿を手に入れただけ。眠ってしまえばすぐに光の翼を持つ狼の姿に戻ってしまいます。
そんなあるとき、祭司が十九代目の時代。地上の祭りが終り、二代目守護神がいつものように祭司から捧げ物を受け取るために地上へと緩やかに上り坂になっている洞窟を通って地上にほど近い地下神殿に行きました。しかし地下神殿には祭司の姿がありません。その代わりに、黒服を纏った長い黒髪の少女が捧げられた食べ物が入った籠を持って祭壇の横に立っていました。
――――――――
ここから二代目さんのお話。
一人が平均50年祭司を勤めたとして19代続けばだいたい950年か……。
二代目さんはここまで約750年守護神してることになる。ここらへん、あとから色々食い違ってきそうだな。調整の必要がある。それにしても初代夫婦さんは守護神としての寿命が短かったな。