てすと
てすてす
「人食いオオカミ」
昔々、あるところに人食いオオカミがいました。
人食いオオカミ達は五十頭もの群れを作って森の中に住み、「人以外は食べてはならない」、「人に近づいてはならない」、「村の人間は食べてはならない」という掟を厳守して森の中に迷い込んだ人間だけを食べて生きていました。
その人食いオオカミの群れの中に一頭だけ右目が赤、左目が青という左右異なる色の瞳を持つ、奇妙な子供のオオカミがいました。そのオオカミはとても優しく、聡明で将来群れのリーダーになることを約束されていました。
ある日、左右異なる色の瞳を持つオオカミは、狩の仕方を覚えるために大人の人食いオオカミに混じって狩場へ行きました。そこで「狩られる者」を見て初めて、今まで自分が食べていたものを左右異なる色の瞳を持つオオカミは理解しました。
狩の仕方を教え込まれた左右異なる色の瞳を持つオオカミは次の日、群れのリーダーにウサギを一羽狩って来るように命じられました。
森の小川まで来た左右異なる色の瞳を持つオオカミは目と鼻の先にいる小さなウサギを狩ることが出来ませんでした。そして人食いオオカミに気づいて逃げたウサギを追うこともしませんでした。
その日、オオカミは誓いました。「もう、自分のために他のものの命は奪わない」と。
優しすぎるが故の決断でした。